ホーム相続・遺言相続人が誰もいない場合はどうなる?国庫帰属の手続き
相続・遺言

相続人が誰もいない場合はどうなる?国庫帰属の手続き

相続人がいない場合、遺産はどうなるのか。国庫帰属(こっこきぞく)の手続きや家庭裁判所への申し立て方法をわかりやすく解説します。

更新日:2026-04-01

この記事の目次

  1. 相続人がいない場合の基本知識
  2. 国庫帰属までの流れ
  3. 相続財産管理人の役割
  4. 国庫帰属に至るまでの期間
  5. 事前に対策するポイント
  6. 実例から学ぶケース
  7. まとめ:今からできること

相続人がいない場合の基本知識

配偶者や子ども、親や兄弟姉妹など、法律で定められた相続人が一人もいない場合があります。このような状況は、お一人暮らしの方や家族との関係が断絶している方に起こりやすいです。

こうした場合、遺産(預金、不動産、生命保険など)はどこへ行くのでしょうか。そのまま放置されるわけではなく、法律に基づいて処理されます。基本的には、遺産は最終的に国のものになる「国庫帰属(こっこきぞく)」という手続きを経ることになります。

ただし、この手続きには期限や条件があります。亡くなった方の預金口座が凍結されたままになったり、不動産の名義変更ができなくなったりするため、早めの対応が重要です。

国庫帰属までの流れ

相続人がいないことが判明した場合、家庭裁判所に「相続財産管理人(そうぞくざいさんかんりにん)」の選任を申し立てる必要があります。これは、亡くなった方の遺産を管理・処分する人を決める手続きです。

具体的には、以下の順序で進みます:

1. 家庭裁判所に「相続財産管理人選任の申し立て」を行う

2. 裁判所が相続財産管理人を選任する(弁護士や司法書士が選ばれることが多い)

3. 相続財産管理人が遺産を調査・整理する

4. 官報(かんぽう)で相続人の有無を公告する

5. 相続人が名乗り出ない場合、遺産が国庫帰属する

この流れには通常1年~1年半程度の期間がかかります。申し立てには手数料として数千円の納付書が必要です。

相続財産管理人の役割

相続財産管理人は、亡くなった方に代わって遺産を管理する人です。銀行や市役所などの公的機関と連絡を取り、預金がいくらあるのか、不動産はどこにあるのかを調べます。

主な仕事内容は:

・銀行口座の解約手続き

・不動産の評価と売却

・税金や葬儀費用などの債務(ローンなど)の処理

・遺産目録の作成

これらの仕事にかかる費用は、遺産の中から支払われます。例えば、預金が100万円ある場合、管理人の報酬として月額3万円~5万円程度が遺産から差し引かれることもあります。

相続財産管理人は、法律知識が必要なため、弁護士や司法書士が選任されるのが一般的です。個人が選任される場合もありますが、その場合でも相応の負担があります。

国庫帰属に至るまでの期間

相続人がいないと判断されてから、実際に遺産が国庫帰属されるまでには、かなりの時間がかかります。

家庭裁判所は、相続人の有無を確認するために「官報公告」を行います。これは新聞のような形で全国に周知される手続きで、通常2か月~3か月の期間が設けられます。この期間に相続人が名乗り出ないことを確認してから、初めて国庫帰属の決定がされます。

つまり、亡くなってから遺産が完全に国のものになるまで、合計で1年半~2年程度の期間が必要になる場合があります。

この間、銀行口座は凍結されたままで、家族でも引き出せません。また、不動産も国庫帰属まで売却できないため、固定資産税が発生し続けます。遺産が少ない場合、管理費用の方が高くなってしまう事態も起こります。

事前に対策するポイント

相続人がいない可能性がある方は、今のうちから対策を取ることをお勧めします。

**遺言書を作成する**

最も確実な方法です。遺言書があれば、相続人がいなくても、指定された人(友人、福祉団体など)に遺産を譲ることができます。遺言書がない場合より、手続きが簡潔になります。

**相続人の有無を確認する**

戸籍謄本を遡って、本当に相続人がいないかどうか確認しましょう。「いない」と思っていても、実は遠い親戚がいることもあります。

**生前贈与を検討する**

お世話になった人や福祉施設に、生きているうちに財産の一部を譲り渡すことも方法です。この場合、贈与税の手続きが必要になります。

**弁護士や司法書士に相談する**

ご自身の状況に応じた最適な対策を提案してもらえます。費用は初回相談無料の事務所も多くあります。

実例から学ぶケース

具体的な例を紹介します。

**ケース1:預金500万円、不動産なし**

この場合、相続財産管理人の報酬が月額5万円×12か月で約60万円かかります。官報公告費用も含めると、管理に100万円程度の費用がかかる可能性があります。その結果、遺産500万円のうち400万円が国庫帰属されることになります。

**ケース2:不動産あり、預金少額**

不動産を売却する場合、仲介手数料や修繕費などで30万円~100万円の費用が発生します。さらに相続財産管理人の報酬も加わると、全体の費用が予想より多くなります。

**ケース3:借金がある場合**

もし遺産より借金の方が多い場合、国庫帰属されません。代わりに相続財産管理人が債権者に返済します。遺産が完全になくなることもあります。

これらのケースから分かるのは、相続人がいなくても、遺産を上手く活用する方法があるということです。遺言書の作成は非常に有効です。

まとめ:今からできること

相続人がいない場合、遺産は複雑な手続きを経て国庫帰属されます。この過程では多くの費用と時間がかかります。

しかし、事前に対策を取ることで、このような事態を避けることができます。

**今からできることは:**

・遺言書を作成する

・相続人の有無を正確に確認する

・生前贈与を計画する

・弁護士や司法書士に相談する

特に60代70代の方で、配偶者や子どもがいない場合は、ぜひ専門家に相談してください。費用は初回無料の事務所も多くあります。

ご自身の遺産がどのように使われるのか、生きているうちに決めておくことは、とても大切なことです。後々家族や関係者に迷惑をかけないためにも、今から行動することをお勧めします。

⚠️ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、年金事務所・市区町村の窓口・専門家にご相談ください。

相続・遺言の記事一覧へ