親から受け継いだ家や土地の名義変更は、相続後に必ず行う重要な手続きです。やり方と必要な書類をわかりやすく説明します。
更新日:2026-03-31
この記事の目次
親が亡くなって家や土地を相続した場合、法律上その不動産の名義を故人から相続人(あなた)に変更する手続きが必要です。この手続きを「名義変更」または「相続登記」と呼びます。
名義変更をしないまま放置すると、後々のトラブルの原因になります。例えば、その不動産を売却したい場合や、さらに次の世代に相続させる場合に、手続きが複雑になってしまいます。また、2024年4月からは、相続で不動産を取得した場合は3年以内に名義変更することが法律で義務付けられました。期限を過ぎるとペナルティが発生する可能性もあります。
つまり、できるだけ早めに手続きを済ませておくことが大切です。
不動産の名義変更を行うには、以下のような書類を集める必要があります。
【故人の書類】
・被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本(複数の市町村に分かれていることもあります)
・被相続人の住民票の除票
【相続人の書類】
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人の住民票
・相続人の印鑑登録証明書(3ヶ月以内のもの)
【不動産関連の書類】
・登記簿謄本(今の所有者が誰かを確認します)
・固定資産税評価証明書
・遺産分割協議書(複数の相続人がいる場合)
これらの書類を市役所や法務局で取得する必要があります。費用は数千円程度です。わからないことがあれば、市役所の窓口で相談することをお勧めします。
名義変更の進め方は、相続の状況によって3パターンに分かれます。
【1】遺言書がある場合
遺言書があれば、その内容に従って名義変更を進めます。遺言書は公正役場で作成した「公正証書遺言」の場合と、自分で書いた「自筆証書遺言」の場合があります。自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です。
【2】複数の相続人がいて遺言がない場合
相続人全員で「遺産分割協議」を行い、誰がその不動産を相続するかを決めます。決まったら、協議の内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成します。全員の署名と印鑑が必要です。
【3】相続人が1人だけの場合
手続きは最も簡単です。必要な書類を集めて、法務局に申請するだけです。
名義変更の手続きは、以下の順序で進めます。
【ステップ1】必要書類を集める(1~2週間)
市役所や法務局で書類を取得します。戸籍謄本は複数の市町村が関係している場合、郵送請求で時間がかかることもあります。余裕を持って進めましょう。
【ステップ2】遺産分割協議書を作成(1週間程度)
相続人全員で相談して、誰が不動産を受け継ぐかを決めます。決まったら、その内容を協議書にまとめます。
【ステップ3】法務局に申請(最後)
書類をすべて集めたら、その不動産がある地域を管轄する法務局の窓口に申請します。申請には登録免許税という税金がかかります。例えば、評価額が1,000万円の場合、約3万円です。
【ステップ4】完了(1~2週間後)
審査を経て、名義変更が完了します。完了すると新しい登記簿謄本が取得できます。
名義変更の手続きは、自分で行うこともできますが、複雑な場合は専門家に依頼することをお勧めします。
【司法書士に依頼した場合】
名義変更の手続きは、主に司法書士が行います。費用は不動産の評価額や相続の複雑さによって異なりますが、相場は8万~15万円程度です。簡単な案件なら5万円程度、複雑な案件なら20万円を超えることもあります。
【弁護士に依頼した場合】
遺産分割でもめている場合は、弁護士に相談することもあります。その場合の費用は相談料で1時間あたり1万円程度です。
専門家に依頼すれば、書類作成から申請まですべてを任せられるので、手間がかかりません。高齢で手続きが難しい場合や、相続人が遠くに住んでいる場合は、専門家の力を借りることを検討してください。
名義変更を行う際に気をつけるべきポイントをご紹介します。
【1】期限に注意
前述の通り、2024年4月から、相続で不動産を取得した場合は3年以内に名義変更することが義務付けられました。期限を過ぎると、過料(罰金)が最大10万円発生する可能性があります。
【2】相続人全員の同意が必要
複数の相続人がいる場合、名義変更には全員の同意が必要です。一部の相続人だけの同意では進められません。もし相続人同士で意見が異なる場合は、調停(ちょうてい)という家庭裁判所での話し合い制度を使うことができます。
【3】税金の問題
不動産の名義変更自体には相続税がかかりませんが、その後の売却時には所得税がかかることがあります。また、相続した不動産の評価額が高い場合は、相続税の対象になることもあります。心配なら、税理士に相談することをお勧めします。
親から不動産を相続した場合、名義変更は必ず行わなければならない重要な手続きです。期限は3年以内ですが、できるだけ早く済ませることをお勧めします。
手続きが複雑に思える場合や、相続人が複数いて意見がまとまらない場合は、司法書士や弁護士といった専門家に相談することをお勧めします。費用はかかりますが、トラブルを防ぎ、安心して不動産を相続できます。
大切な家や土地だからこそ、正しい手続きで名義を変更しておくことが、自分や家族の将来のためになります。わからないことや心配なことがあれば、市役所の相続相談窓口や専門家に気軽に相談してください。
⚠️ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、年金事務所・市区町村の窓口・専門家にご相談ください。