年金を通常より早く受け取る繰り上げ受給について、60歳から受け取る場合のメリットとデメリットをわかりやすく解説します。
更新日:2026-03-31
繰り上げ受給とは、本来65歳からもらえる年金を60歳から早めに受け取ることです。通常は65歳が受け取り開始年齢ですが、希望すれば60歳からでも年金を受け取ることができます。
ただし、早く受け取る分、生涯でもらえる年金の合計額は減ります。例えば、65歳から受け取る予定だった月額20万円の年金を、60歳から繰り上げて受け取る場合、月額が約14万4,000円に減額されます。これは1ヶ月受け取るのが早くなるたびに、約0.4%減額されるという計算です。
最大のメリットは、早い時期から現金を手にできることです。仕事をやめたい方や、まとまったお金が必要な方には助かります。
例えば60歳で仕事をやめた場合、65歳までの5年間、年金がもらえないと生活が困ります。繰り上げ受給なら、その間の生活費をカバーできます。また、健康に不安がある場合、長生きするより先に年金を受け取った方が、生涯の受取額が多くなる可能性もあります。
さらに、貯蓄を減らさずに生活できるため、万が一の病気や介護に備えて貯金を温存できるメリットもあります。
最大のデメリットは、生涯でもらえる年金が減ることです。60歳から受け取った場合、月額は約24%減ります。これは一生続くため、85歳まで生きるなら通常受給の方が得をしてしまいます。
また、65歳以降も減額が続きます。もし80歳まで生きれば、減額分の損失は約576万円です(月額減少額4万8,000円×12ヶ月×10年)。
そのほか、配偶者がいる場合、配偶者年金(遺族が受け取る年金)も減額されます。長く生きる可能性が高い方、配偶者が若い方は、繰り上げ受給は避けた方が無難です。
繰り上げ受給がおすすめの方は以下のような人です。
・健康に不安があり、長生きの可能性が低い方
・60歳で仕事をやめたいと強く希望する方
・今すぐまとまったお金が必要な方
・配偶者がいない独身の方
・すでに十分な貯蓄がある方
逆に、健康寿命が長い、配偶者が若い、貯蓄が少ないといった方は、通常通り65歳から受け取る方が安心です。
繰り上げ受給を希望する場合は、年金事務所に申請書を提出します。60歳になる3ヶ月前から手続きできます。
重要な注意点は、一度繰り上げ受給を選ぶと取り消せないことです。後から「やっぱり通常受給にしたい」と言い直すことはできません。決定は慎重に行いましょう。
また、繰り上げ受給を選ぶと、厚生年金の報酬比例部分(給料に応じた年金)も同時に減額されます。在職老齢年金(働きながらもらう年金の制度)の対象にもなり、給料が高いとさらに年金が減額される場合もあります。手続き前に年金事務所で十分に相談することが大切です。
⚠️ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、年金事務所・市区町村の窓口・専門家にご相談ください。