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介護親の介護費用は誰が負担する?兄弟間での費用分担の考え方
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親の介護費用は誰が負担する?兄弟間での費用分担の考え方

親の介護費用を誰が負担するかは、兄弟間でもめやすいテーマです。法律上の扶養義務から、実情に合わせた費用分担の話し合い方まで、具体的なケースを交えて解説します。

更新日:2026-04-07

📋 この記事の目次

  1. 介護費用の負担は法律で決まっている?
  2. 介護にかかる費用の実態
  3. 費用分担の話し合いのポイント
  4. 「介護した分だけ相続を多く」は認められる?
  5. お金のトラブルを防ぐ事前対策

介護費用の負担は法律で決まっている?

「親の介護費用は誰が払うのか」という疑問に対して、法律では民法第877条に基づき、子どもには親を扶養する義務があります。ただし、この扶養義務は「自分の生活を犠牲にしてまで負担しなくてよい」とされる「生活保持義務」ではなく、「余力の範囲内で行う扶養」(生活扶助義務)です。

具体的には、子どもが複数いる場合、扶養の義務は兄弟全員に等しく発生します。「長男だから」「近くに住んでいるから」という理由だけで一人が全額負担しなければならない義務はありません。

実際の負担割合については、家庭裁判所に扶養調停を申し立てることで決定できますが、多くの家庭では話し合いによって決めています。

介護にかかる費用の実態

介護費用は、親の要介護度や介護の方法によって大きく異なります。生命保険文化センターの調査(2021年)によると、在宅介護・施設介護を含めた月額費用の平均は以下の通りです。

【月額費用の目安】

・在宅介護(要介護1〜2):3〜5万円

・在宅介護(要介護3〜5):7〜12万円

・特別養護老人ホーム(特養):7〜15万円

・介護付き有料老人ホーム:15〜30万円

介護期間の平均は約61ヶ月(約5年)とされており、総額では数百万円規模になることも珍しくありません。介護保険の自己負担は1割〜3割ですが、食費・居住費・雑費などは全額自己負担です。

まず親自身の年金・貯蓄で賄えるかどうかを確認し、不足分を子どもたちで分担するという考え方が基本です。

費用分担の話し合いのポイント

兄弟間で介護費用の分担を話し合う際、後々のトラブルを防ぐために以下の点を事前に整理しておくことが大切です。

【話し合うべき5つのポイント】

①親の経済状況を全員で把握する

預貯金・年金額・不動産など、親の資産を透明にしておきます。「親の介護費用は親のお金で」が原則ですが、把握していないと分担の議論ができません。

②兄弟の経済状況・距離・状況を考慮する

収入が少ない兄弟、遠くに住む兄弟、育児中の兄弟など、それぞれの事情を踏まえた柔軟な分担を考えましょう。「金銭的な負担」と「時間・体力的な負担」を分けて考えることも重要です。

③分担方法は「均等割り」か「能力割り」か

収入に関わらず均等に分担する方法と、収入の多さに応じて負担する方法があります。どちらが公平かは家庭によって異なります。

④介護記録と費用明細を記録しておく

誰がいつ何に使ったかを記録しておくことで、後日の確認ができ、信頼関係の維持にも役立ちます。

⑤介護サービスを積極的に使う

「家族が介護すべき」という思い込みは禁物です。介護保険サービスを最大限に利用することで、費用と負担を適正な範囲に抑えられます。

「介護した分だけ相続を多く」は認められる?

介護を主に担った兄弟が「その分相続をたくさんもらいたい」と主張するケースはよくあります。法律上は「寄与分」という制度があり、特別な貢献(介護など)をした相続人は、その分多く相続財産を受け取れる可能性があります。

【寄与分が認められる条件】

・継続して療養看護を行ったこと

・特別の貢献であること(通常の親族間の扶養の範囲を超えていること)

・その貢献によって財産の維持・増加に貢献したこと

ただし、寄与分の主張は相続人全員の合意が必要で、合意できない場合は家庭裁判所の調停・審判が必要です。「日常的な世話」や「精神的なサポート」は認められにくく、実際の介護記録(日誌・領収書・介護日記など)が重要な証拠になります。

揉めることを避けるためには、生前から「介護した場合は相続分を増やす」という内容を遺言書に記載してもらうことが最も確実な方法です。

お金のトラブルを防ぐ事前対策

介護費用のトラブルは、事前の対策でほとんど防ぐことができます。

【今すぐできる3つの対策】

①「家族会議」を早めに開く

親がまだ元気なうちに、介護になったときの話し合いをしておきましょう。「老後はどうしたいか」「どの施設を希望するか」「お金はどのくらいあるか」などを確認しておくと、いざというときに動きやすくなります。

②「家族信託」や「成年後見」を検討する

親の財産管理を円滑に行うための法的な仕組みです。特に認知症が進んでからでは手続きができなくなるため、早めの検討をお勧めします。

③費用の立替・精算ルールを決めておく

「誰が先に払って後で精算するか」「領収書はどう管理するか」などを決めておくと、長期間の介護でも混乱しにくくなります。専用の口座を作り、そこから出し入れする方法が管理しやすく透明性も高くなります。

よくある質問

Q. 介護費用は兄弟で均等に払う義務がありますか?

A. 法律上、子どもには親への扶養義務がありますが、各自の収入・状況に応じた負担となります。均等割りか収入割りかは兄弟間の話し合いで決めるのが一般的です。強制的に均等負担を求める法的手段はありますが、まず話し合いで解決することをお勧めします。

Q. 親の年金だけで介護費用は足りますか?

A. 要介護度によりますが、特別養護老人ホームなら月7〜15万円、介護付き有料老人ホームなら15〜30万円程度かかります。国民年金のみ(月約6万円)では施設費は不足することが多く、厚生年金(平均月14万円)でも不足する場合があります。親の預貯金と合わせて計算することが大切です。

Q. 介護をたくさんした兄弟は相続を多くもらえますか?

A. 「寄与分」という制度があり、特別に介護貢献した相続人は相続財産を多く受け取れる可能性があります。ただし相続人全員の合意が必要で、合意できない場合は家庭裁判所の調停が必要です。介護日記・ヘルパーとのやり取り記録などが証拠になります。

Q. 遠くに住んでいる兄弟は介護費用を払わなくていいですか?

A. 距離に関わらず扶養義務はあります。実際には「近くに住む兄弟が介護の手間を担い、遠くに住む兄弟が費用負担を多くする」という形で調整するケースが多くあります。それぞれの負担のしやすい形を話し合いで決めることが大切です。

Q. 親の介護費用を立て替えたら返してもらえますか?

A. 兄弟間で事前に「後で精算する」と合意していれば返してもらえます。ただし口約束だとトラブルになりやすいため、メッセージや書面で合意内容を残しておくことをお勧めします。介護費用の専用口座を作り全員で管理する方法も有効です。

Q. 介護費用のトラブルを防ぐにはどうすればいいですか?

A. 親がまだ元気なうちに家族会議を開き、介護方針・費用分担・財産状況を共有しておくことが最も重要です。また、家族信託や成年後見制度を活用して財産管理を透明にしておくと、認知症になってからのトラブルも防げます。

⚠️ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況については、年金事務所・市区町村の窓口・専門家にご相談ください。

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